大人はなんでも買えるんだと思ってた。
実家で、地元の私が好きな「どら焼き」を食べながらあの事を思い出した。
高３の夏。三者面談の日。私は母に「どら焼き」を部活に差し入れしたいと言った。
あれ好きだし、普通の「どら焼き」じゃないしみんなに食べてもらいたいなあって。
母はその時、特になにも言わずクールBOXに入れて買ってきてくれたんだけど。
私は吹奏楽部で三学年で１００人くらいいるのよ。
どら焼きはさっき調べたら１９０円なのよ。当時だと１７０円くらいかな？
１００×１７０…？
お？ハッピーターンとかアルフォートとか小分けの袋差し入れと全然違うな…
みんなMy楽器持っているからって、プレゼン動画作ってトランペット買ってもらった。
３０万。
高校生の私のお小遣いは毎月１５０００円（祖母５０００，親５０００、優男の兄５０００）。３０万ってどれくらいなのか分からないけど、大人は払えるんだと、なんも考えていなかった。
兄弟はサッカーをやっていたからスパイクとかデカいBag、遠征費？怪我の治療費も。
学費も何十万？毎月の養育費はいくらなの？？
大人に払えないものはないんだと思っていた。
私は大人になった。
払えない。
自分のことでいっぱいなのに、考えられない。大人なのに。
こども育てるのってお金かかるよね、生活費が倍になるんでしょ？よくこれまで育ててくれたなあ。って大人になってから考えたことはあるけど、
「どら焼き」が新たに気付かせてくれた。
「どら焼き」ありがとう。
～どら焼きの声～
ん？いまさら気付いたのか？でもそれに気付けたことが一歩大人になった証拠だ。
それに、礼をいうのは俺にじゃないだろ？
さあ、そこでドラマを観ながら横になっている母に伝えてごらん。シッ、自分でつけたくせに寝ている今がチャンスだ。これなら君も伝えやすいだろお？
